「久しいねぇ〜」
「おう、お前帰っとったんかぁ・・・」
別嬪の娘が子どもたちを連れて里帰りしとった。
「正月と盆にしか顔をあわせんが、マメにゃーしとったかね?」
気がつけば盆。
月日の過ぎるのは早い。
ふり向けば盆。
盆入りの益田は、どことなく盆らしくない。
他県ナンバーが目立つが、混雑ということもない。
季節らしさはすっかりなくなってしまった。
花屋の店先には菊の花が並んでいる。
墓掃除の済んだ寺の境内には、ピンクのさるすべりが燃えるように咲いている。
砂利の音、庫裏の床下のかわいた砂のいろ、そして寺の匂い、線香の匂い。
それが盆の匂いなのかもしれない。
カラカラの校庭で子どもたちが野球の練習をしている。
背の高いホプラの樹上より振りそそぐ蝉の声。
見慣れない顔の父子が虫取り網を持って、木々の下から覗いて回っている。
帰省者のいる家の、晩のごっそうは何じゃろうか?