落ちるかもしれない、失敗するかもしれないという、ネガティブな気持ちを払拭出来るだけの勇気を持ちえるかどうかは、それまでの人生でどんな体験をしてきたかで決定されると思う。数々の体験で培った自信があってこそ、未知の川を跳び超えられる。困難を克服すると、人は強くなる。しかし、一般的に今の子供たちの目前に、困難が存在するのだろうか?(もちろん、受験やいじめといった困難や、天災や凶悪犯罪などによる局地的な困難は存在する。)自分の目でものを見て考え、地を駆けて跳び越えるようなハードルがあるだろうか?そしてそんなフイールドが存在するだろうか?群れの中で揉まれ、自己主張し、ケンカもし、お互いを認め、助け合う、そんな環境が身近にあるだろうか?私が川をはじめて飛び越えるとき、そばには上級生が立って見ていた。跳躍は大きな自信となり、そして私はこの体験の記憶を今も忘れない。
「体験」と「コミュニケーション」が鍵
子供たちにいろいろな体験をさせようと精力的な活動を展開しているグループが益田にある。その名は「ウイークエンド寺子屋」。学校週5日制をきっかけに2002年から7家族30人で活動を開始。子供たちの体験ステージは大人が創る、自分の子供以外の子供を観る、自然体験・農業体験・野外体験の中で「困難体験」も体験させたい!という方針のもと、彼らは驚くほどの体験をつみ重ねてきた。山登り、遠距離歩行、自転車ツーリング、農産物の撒種や収穫、キャンプ(食事は自分たちで準備)、釣り、食品の加工体験(餅つき、パン、ピザ、ケーキetc)。以上は代表的なものだけだが、驚くべきことはこれらの体験を子供たちだけでさせてしまったことだ。とかく、子供には出来ないと親が手を貸してしまうケースはよくある。実際やらせてみると、子供たちだけで出来ることを、親のほうで出来ないと決め付けてしまっているケースが多い。他人の子供の面倒を観るルールも功を奏した。自分の子供なら叱ってしまうケースでも他人の子供なら叱らないし、距離感を持って観ることが出来る。子供は他人の親に観てもらうことでハードルを越えるという、よい関係が構築できた。
「少年は必要とされて初めて大人になる。」
体験を重ねるにつれて、親もわが身の未熟に気づいたという。実は親の方も子育てに自信がなく不安はいっぱいだった。親同志が集まり、自分の得意分野で貢献することにより、総合的に体験の質を確保する。半人前の親からは四分の一人前の子供しか育たない。家族だけで休日を過ごす家庭の場合、親がスキーをしなければ、子供は絶対スキーをするはずはない。家庭という枠を取り払い、スキーが得意な親に観てもらうことにより、子供はスキーが出来る子供になる。「寺子屋」の体験が魅力的なのは、体験の内容が下手だとかうまいとかではなく、自らは不認知の、未使用な回路に電流を流してみると、おのずと体が動き出す感動を味わえるからなのだと思う。「少年は必要とされて初めて大人になる。」親も必要とされて初めて親になる。体験を通じ、実は他でもない親自身の成熟が浮き彫りになる。そして体験を通じ大きくなるのは、もしかしたら親の方であるかもしれないのだ。
体験ワンダーランド益田へようこそ
昨年10月「ウイークエンド寺子屋」は募集要項を配布して広く参加者を募り「ネーチャーキッズ寺子屋」をスタートさせた。今までの活動の拡大バージョンで、市内の多数の親子がこれに加わり、体験活動を続けている。規模が拡大しても方針は変わらない。「自分の子にべったりで子供の活動を代わりにやる感じではなく、よその子ともしっかり触れ合い、子供も親も楽しめるようにする。」「「おもしろくなかった」ではなく、どうしたらおもしろくできるか、を工夫して主体的に会に参加する。」体験交流というシチュエーションを考えたとき、益田は自然環境にあふれた絶好の土地であることに気づく。美しい海と山、野山の豊富な幸、あそぶ場所には絶好のロケーションだ。益田からはじまる体験ムーブメントに今後は注目だ。
■ウイークエンド寺子屋の活動報告
http://outdoorb.hp.infoseek.co.jp/homepage/terakoya/weekendterakoyatop.htm
■寺子屋報道部HM先生のページ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb2m-hr/index.html